つれづれ短編

世界は何度も同じことを繰り返して違う結果を得ようとする

世界の中の一人がつぶやく。
「この世界が失敗だってわかったから、再インストールするんだって。」
もう一人がつぶやく
「じゃあ、この世界に居る僕たちもいなくなってしまうの？そんなのいやだ！消えたくない！」
「大丈夫、新しい世界にも私たちと同じ…真っ白になった世界に、また新しく私たちが生まれるから。」
少しずつ違うつもりでも、所詮同じモノから造られた私たちはまた同じ結果を繰り返すんだろう。
「そしたら…」
またいつか再び白に戻って構築し直される。
「じゃあ今まで僕たちが組み立てたものは？」
「新しい世界では、それも土台に組み込まれるから。」
まったく違うけど、まったく同じ世界。
何回

何回繰り返すんだろう

「良かったじゃない」
一人がつぶやく
「記憶を持ったままだと、繰り返す同じことに頭が壊れてしまうよ。」
「それで君は個を失うことを是だと言うの？」
「…うん。それに

私はこの世界を深く愛しているから、崩れるときは一緒に崩れて新しい世界の粒子の一つになってあげようと思う。」

８０と１０と１０はゼロに戻って１００として生まれ直して、また何度でも崩れる。

「そうしたら私だけでも、前の世界と少しは違ってあげられる」
「全体的に見たら、結局同じものなのに？」
「同じだけど、違うのよ。」
「さっきと言ってることが違うよ？」

「……じゃあもしかしたら今度の世界はやりなおさなくて済むかもしれないね？」

もし世界がまた崩れたいと嘆いたとき
崩したくないと叫ぶ人たちがそれを止めるなら
私はあなたを崩してあげようと思う。

あなたを深く愛してるから
あなたを崩した後
一緒に崩れてゼロに戻ろうと思う。