ずるい、あんたは。

創作お題をこっそりとやってみたという…
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逆恨み万歳展開に＼＾０＾／
愛されすぎると苦しいって言うあれです

PS:拍手ありがとうです！ﾜｰｲ


「半身」

俺と兄さんは同じ顔だった。

だけど常に愛されるのは兄さんだった。
父も、母も、家庭教師も、幼馴染も、俺ではなくて兄さんを愛した。

常に兄さんは人を愛した。
父を、母を、家庭教師を、クラスメイトを、友人を。そして俺を。

俺は兄さんに愛されれば愛されるほど、どうしようもなく兄さんを憎んだ。
どんなに憎んでも、兄さんは俺を許した。

戦争が始まるらしい。
一卵性の双子ならわかるまいと、兄さんは俺の代わりに行った。

兄は死んだ。
どんなに俺が憎もうと、もう届かない。

「ずるいなあんたは。そうやって永遠に停止することで、永遠に綺麗で、永遠に俺に勝ち続けるんだ。」

いっそ憎み返してくれれば、どれほど楽だっただろう。
触った墓石はひやりと冷たく、ただひたすら自らが汚いものに感じた。肉の身の温かさも、済んだ空気に冷やされた墓石よりはるかに醜悪に思えた。

愛すること、許すことによって、兄は永遠に俺へ苦しみを残したのだ。

ずるい、あんたは。