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【http://blue-dragon.rash.jp/hyakkiyakou/ss/ss.html】
東京某所。真夜中。誰もいない地下駐車場。
恭士が喧嘩を終えて顔をあげると、そこに金髪の若い男が立っている。金色の目を光らせて、それは人間ではないような超然とした態度で恭士に近づく。
つい今しがた人間離れした力でチンピラを肉塊同然にした恭士に対して、なんの恐れも抱いていないかのように、小馬鹿にした調子で男がたずねる。
「お前、俺と協力しないか?」
恭士が小馬鹿にしたように笑う。
「協力?あほか、現状見て言え。みんなもう動かネぇ、遊び相手がいなくなってつまんねぇんだ…ナアお前、俺の暇つぶしにつきあえよ。」
そういった恭士の目前に、いつの間にか金髪の男が立っている。
「お前、殺しがしたいんだろ?」
人間技ではない、一瞬のうちに10メートルはあろうかという間合いを詰めたのだ。
少々驚いたのはつかの間、瞬時に恭士は不敵な笑みを浮かべて金髪の男に殴りかかる。右手で一撃、左手で一撃、そのどちらもすんでのところでかわされる。
「気の短い奴だな、まあそうでないと。」
金髪の男は相変わらず恭士の攻撃をよけながら、薄い笑みを浮かべている。
恭士の心が躍った。
「お前、俺と同じだな。」
自分と同じ、そう、鬼人。人間よりもはるかに優れた身体能力を持つ鬼人は、けんか相手にもってこいだ。
「少し違うか。人間以上って意味では、お前と同じだけどな。俺の名前はロキ。」
相変わらずすんでのところで恭士の攻撃をかわし、ロキは何事も起こってないかのような落ちついた声で話を続ける。
「霧咲恭士、お前がDINOのトップなのはその高すぎる矜持(プライド)のためだろ?おまえは本当は組織をまとめるよりも喧嘩がしたいはずだ。」
「はっ、それがどうした。」
恭士の横蹴りがロキにあたり、ロキが吹っ飛ばされる。ロキは地下駐車場の柱の一本にぶつかり止まる。あまりにも恭士の蹴りが強く、ロキがぶつかった柱の一部が砕ける。普通の人間だったら死んでてもおかしくない。
「けほっ、予想以上に利いたな…。」
がれきの中から起き上がりつつぼやくロキの目前では、すでに恭士が拳を構えている。
「そして予想以上に早い。」
そう言ったロキの顔は相変わらず不敵。
追い打ちを加えようとした恭士を思い切りけり上げ、天井にたたきつける。地下駐車場でない普通の天井だったら、おそらく抜けていただろう。
「そして頑丈さは折り紙つきみたいだな。」
恭士は即座に天井を蹴り飛ばし、稲妻のようにロキに向かっていた。
「ばぁっか、話は最後まで聞け。お前だって俺みたいな好敵手とたくさん戦いたいんだろ?だったら俺と協力しろって…言ってんだ、よっ!!」
恭士のクローをかいくぐって、ロキが思い切り恭士にアッパーをくらわす。
「っ…つー、頑丈な奴め、こっちの拳が痛くなる。」
脳に強力な衝撃を受け恭士の動きが鈍ったのを見ながら、相変わらず落ち着いた調子でロキは言う。
「血の気余りすぎだろお前、まあいいや。今度、ここに描いてある所で面白い事件が起こる。」
ロキが懐からいっぺんの紙を取り出す。紙片には、簡略な地図と、日付のような文字が見て取れる。
「興味があるなら行ってみな。お前が望む、殺しがいのある奴がいるはずだ。俺のケータイ番号も書いてある。そこで会った奴が気に入ったなら、俺に電話をかけると良い。」
紙をロキが恭士に投げる。恭士に蹴りを食らわせる。恭士が後ろにノックバックしている間に、来た時と同じ一瞬のうちに、まるでかき消えるかのようにいなくなる。すべての行動が終わって少ししてから、ロキの投げた紙が地面に落ちた。
恭士の眉間に、深いしわが寄る。
「なんやあいつ…ふざけよって。」
恭士はロキの落とした紙を拾い、一瞥し、破り捨てる。肉塊となったチンピラには目もくれず、地下駐車場を抜け出す。
頭の悪い奴じゃないと思うが、いかんせん血の気が多すぎる。
鼻から出た赤い液体を拭い、ロキが思う。
一瞬のうちに地下駐車場を抜け出したロキは、繁華街を見降ろすビルの屋上にしゃがみ、夜の街を行きかう人々を眺める。こんなにたくさん人間はいるが、鬼人はこの中に1人か2人、いるかいないか。
ロキは、自分の手足となり使える「鬼」もしくは「鬼人」を探していた。
鬼がこの世界から消える瞬間放出する【怨気】、また人間が持つ【魂】は、人間が知らないだけで素晴らしいエネルギーを持っている。それを集めるためには、自分ひとりでやるより手ゴマを持っていたほうが効率が良い。
また、ロキは【来るべき日】のために戦力を必要としている。使える奴は多いに越したことは無い。
まあ、鬼の力を解放して興奮状態にあったあいつと接触した俺も少々うかつだったか。
先ほど恭士を殴り飛ばした拳が、ジンと痛む。春の夜の、暖かくなり始めた空気の匂いを嗅ぐ。前に嗅いだことのある、子供の姿をした鬼の臭いが混じっている。
鳴子童子とか言ったか。この世を恨んで成るものが鬼だが、あの子供の姿の鬼はそれがさらに屈折している。ロキが手足として使うことはできないだろうが、放し飼いにしておいて損になることもなさそうだ。あいつの思惑は知らないが、鳴子童子は鳴子童子で、鬼を増やそうとしているようだ。
まあ、そんなこと俺には関係ないな。上機嫌なロキが、ポケットに入れたケータイを撫でる。
「さ、他にいいのはいないかな。」
あいつは絶対電話をかけてくるだろう。
確信を抱きながら、繁華街の人波の中に紛れる。
町はまるで何事もなかったかのように夜を続ける。
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